HRBPの究極の役割とは?成功の3つの要素・スキル

B.HRの役割

このサイトは、ビジネスの成功に貢献したいと思っているHRのプロフェッショナルと組織マネジメントをより効果的に行いたいと思っているリーダーに対して、私の経験を共有することでお役に立つことを目指しています。

今回は、HRビジネスパートナー(HRBP)について書いてみたいと思います。HRビジネスパートナーという言葉を聞くようになって久しいですが、その役割や行っていることについては、組織によって様々だと思います。多くの組織では、HRビジネスパートナーが各部門に深く関わりながら戦略を推進していますが、組織の規模や業界によっても求められる役割や優先事項が異なる場合もあります。

 

HRビジネスパートナー(HRBP)とは

私は、HRビジネスパートナーとは、「自分が担当する部門の部門長のパートナーとして、HR領域の専門性を活用することで、その部門の目標を達成することに貢献する役割」と考えています。

皆さんは、「HRビジネスパートナーが究極的に行うことを3つ挙げてください」と言われたら、どんなことを挙げますか?組織によって回答は異なってくるかなと思います。

私が挙げるとすると、「ビジネス戦略を作成することに貢献する」、「そのビジネス戦略を実現するための組織構造を作成することをリードする」、「その組織構造を構成するそれぞれのハコにふさわしい人材をアサインすることをリードする」という3つになります。これ以降のパートでそれぞれについて書いていきます。

 

ビジネス戦略を作成することに貢献する

私が考えるHRビジネスパートナーが究極的に行うことの1つ目は、「ビジネス戦略を作成することに貢献する」ということです。そもそも私は、HRビジネスパートナーとは、「自分が担当する部門の部門長のパートナーとして、HR領域の専門性を活用することで、その部門の目標を達成することに貢献する役割」と考えています。部門長の行うこともいろいろありますが、少なくとも自部門の目標を達成するための長期的や短期的なビジネス戦略を作成し、その戦略を実現することをリードすることが挙げられます。HRビジネスパートナーは、その部門長のパートナーとして、そのビジネス戦略を作成することに貢献をします。

また、組織によって、部門長の責任範囲に、部門目標を設定することが入っているところもあれば、部門目標自体が与えられるものになっているところもあるでしょう。同様に、パーパスなどの組織の存在意義(Reason to exist)や、価値観ビジョンなどの長期目標(Long-term goals)についても自らの役割責任において設定する権限があるところもあれば、権限がなく所与になっているところもあるでしょう。その部門長に組織の存在意義や価値観、長期目標などを作成する権限がある場合は、HRビジネスパートナーは部門長のパートナーとして、それらを作成することに貢献することも含まれます。場合によっては、自らドラフトを作成して提案し、関係者からのフィードバックを得て最終化していくことをリードするなども考えられます。

いずれにしても、部門長であれば、その部門のビジネス戦略を立案する責任と権限があると思いますので、HRビジネスパートナーの行うこととして、そのビジネス戦略を作成することに貢献することが挙げられます。

 

そのビジネス戦略を実現するための組織構造を作成することをリードする

私が考えるHRビジネスパートナーが究極的に行うことの2つ目は、「そのビジネス戦略を実現するための組織構造を作成することをリードする」ということです。

ビジネス戦略を実現するためには、その戦略にふさわしい組織構造が必要です。以前の記事で議論したように、代表的な組織構造にはメリットとデメリットがそれぞれあり、ビジネス戦略を実現するために完璧な組織構造があるとは言えないと考えています。

そこで、HRの専門家として、そのビジネス戦略を実現するためにはどういう組織構造がふさわしいかを考えます。そのビジネス戦略の内容や今の組織の状況を考慮して、その組織にとっての最良と考えられる組織構造を提案します。例えば、純粋な職種別組織になる場合もあれば、事業部別組織と職種別組織のハイブリッド型の組織構造になる場合もあるでしょう。重要なことは、その組織の状況を考慮したうえで、ビジネス戦略を実現するための最良の組織構造を作成することです。

また、組織構造の中には、職種別組織や事業部別組織のような全体としての構造に加えて、それぞれのハコも含まれます。ここでいうハコとは、ポジションや役割、職務のことを指しています。それぞれのハコの責任や権限について定義します。例えば、地域の観点でハコの責任や権限を定義したり、商品やサービスの観点で定義したりすることもできます。また、お客様のセグメントや職種の観点で定義することもできます。また、どのハコがどのハコにレポートするのかといったレポートラインも考えます。また、一つのマネジメントのハコが、いくつのハコをマネジメントするのかといった、スパンオブコントロールも考慮します。

以上のことを含んだ組織構造について、HRビジネスパートナーは自らドラフトを作成して提案し、部門長を含む関係者からフィードバックをもらって、その部門の組織構造を作成していくことをリードします。

 

その組織構造を構成するそれぞれのハコにふさわしい人材をアサインすることをリードする

私が考えるHRビジネスパートナーが究極的に行うことの3つ目は、「その組織構造を構成するそれぞれのハコにふさわしい人材をアサインすることをリードする」ということです。

先ほどのパートで作成した組織構造を構成するハコには、責任や権限が定められています。つまり、「そのハコを担う人材には、○○という成果を達成することが期待されます。その成果を出すために〇〇という必要な権限を適切に活用できます」ということが定められています。場合によっては、そのハコを担ううえで、必要な知識やスキル、経験について定めることもあります。

HRビジネスパートナーは、HRの専門家として、そのハコを担うベストな人材を推薦します。または、部門長や他の関係者が推薦した人材についてフィードバックをしたり、議論をファシリテートしたりします。その上で、そのハコを担う最適な人材を決定していきます。

また、短期の視点に加えて、長期の視点でもそのハコを担う最適な人材を考えていきます。長期的に組織が成長していったとしても、それぞれのハコを担うのにふさわしい人材がいなければ、組織の継続性は途絶えることになってしまいかねません。それを防ぐために、長期の視点でそのハコを担う人材を戦略的に考えていく必要があります。今は存在していなくても長期のビジネス戦略上必要になるハコがあれば、戦略的に計画的にそのハコを担える人材について考慮する必要もあります。

以上のことが理想的に行われると、そのハコを担っている人材は、そのハコの権限を適切に活用して責任を果たすことで、そのハコに求められる成果を挙げます。それぞれのハコで求められる成果を挙げられれば、そのビジネス戦略は実現され、ビジネス目標が達成されます。そうすることで、それぞれのステークホルダーに価値を提供することができます。

ここまでお読みいただいて、『理想としてはわかるけれど、現実とのギャップを感じる』と思われた方もいらっしゃるかもしれません。これは理想論に思えるかもしれません。しかし、現状から一歩ずつ進むことで、この理想に近づいていくことが可能です。そのために敢えて『究極的』という言葉を使いました。現実の話として、HRビジネスパートナーの皆さんは、多岐にわたる業務を日々行っています。例えば、部門長や他の社員からの相談や依頼に対応したり、HRの通常業務を実施したり、期日管理のためのリマインドをしたりなど、一見すると直接的にビジネス戦略に関係がないように見える業務も含まれます。

ここが重要なポイントだと考えています。HRビジネスパートナーの皆さんは、現在も幅広い業務に携わり、その多くが組織運営に欠かせない重要な役割を果たしています。しかし、日々の業務を遂行する中でも、究極的な目指すべき方向性を意識することが、長期的により大きな成果につながると考えます。そのために今行っていることをどのように遂行すれば、目指すべきところに少しでも近づけるのかを考えて、目の前のことに取り組みます。例えば、部門長からのちょっとした依頼にこたえる際に、その会話の中で部門長が目指していることや、今問題意識をもっていることなどを理解するようにしてみることもできるでしょう。その問題意識に対してちょっとした提案をすることもできるかもしれません。そのようにして、一歩一歩進んでいくことで、いずれは3つのことにより多くの時間を割けるようなることも可能です。そして今以上に大きな成果を挙げることにもつながっていくことでしょう。

更に、今までの回で議論してきた、人事の仕組みが適切に設計され、設計の意図通りに運用されているかについて、下の図を参考にして現状を把握することで、より効果的な提案につながるでしょう。

今回書いている内容は、私が今まで実際に行ってきたことでもあります。そういった経験からも、最初は非常に遠いと感じられても、ゆくゆくは3つのことにより取り組めるようになれると実感しています。

 

まとめ

今回は、HRビジネスパートナーが究極的に行うことについて述べました。具体的には、以下について書きました。

  • HRBPとは
  • ビジネス戦略を作成することに貢献する
  • そのビジネス戦略を実現するための組織構造を作成することをリードする
  • その組織構造を構成するそれぞれのハコにふさわしい人材をアサインすることをリードする

ご覧いただきありがとうございます。組織や文化によって、HRビジネスパートナーの役割や期待される貢献内容は異なるかもしれません。ここで述べた3つの役割は、あくまで私の経験を基にした一例です。皆さんの組織におけるHRビジネスパートナーの理想像と照らし合わせて、ぜひ参考にしていただければ幸いです。なお、この記事は私の個人的見解であり、所属組織とは関係ありません。

皆さんが考える、HRビジネスパートナーとしての理想の役割とは何でしょうか?

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