ビジネスの成功に貢献する人事の実践法

B.HRの役割

このサイトは、ビジネスの成功に貢献したいと思っているHRのプロフェッショナルと組織マネジメントをより効果的に行いたいと思っているリーダーに対して、私の経験を共有することでお役に立つことを目指しています。

今回は、ビジネスの成功に貢献する人事をどのように実践しているかについて書いてみたいと思います。多くの人事専門家やビジネスリーダーは、「人事がどのようにビジネスの成功に貢献できるのか」という問いに直面しています。特に、以下のような課題が頻繁に指摘されます。

  • 人事部門が単なる管理機能にとどまり、戦略的な価値を発揮できていない
  • ビジネスリーダーからの期待に十分応えられていない
  • 現行の人事の仕組みが、ビジネスの成長を阻害している
  • 人事メンバー自身のスキルやマインドセットが変革に追いついていない

これらの課題を解決するために、私は以下の4つの視点で取り組んできました。

  1. ビジネスリーダーの要望に応える
  2. ビジネスの成功にネガティブな影響を与えている人事の仕組みを修正する
  3. ビジネスの成功に良い影響を与えるように人事の仕組みをアップグレードする
  4. 人事のメンバーを育成する

本記事では、これらの視点に沿って、私の経験をもとに具体的なアプローチを説明していきます。

 

ビジネスリーダーの要望に応える

1点目は、「ビジネスリーダーの要望に応える」です。特にビジネスリーダーと深い信頼関係が築かれていない段階では、ビジネスリーダーが人事にどのようなことを期待しているのかを明確にして、それにこたえていくことが重要です。理由として、ビジネスリーダーが「この人は求めることをしっかり実現してくれる専門性と実行力がある」と認識できることで、こちらからの提案によりオープンになれるためです。

具体例として、ビジネスリーダーより、マネージャーのスキルを高めてほしいという要望があったとします。そのビジネスリーダーがマネージャーのスキルを高める必要があると感じた場面を具体的にヒアリングして、そのスキルを具体的に特定します。そして、そのスキルを向上するためのトレーニング内容を作成して、そのビジネスリーダーの意見を伺います。ビジネスリーダーのフィードバックも反映して必要な修正を加え、そのトレーニングを実施します。その結果、ビジネスリーダーが課題ととらえていたマネージャーのスキルが向上し、ビジネスリーダーもそのスキルの向上を実感できるようになります。その後、そのビジネスリーダーから別の要望がでてきたり、より気軽に相談してもらえたりするようになります。

 

ビジネスの成功にネガティブな影響を与えている人事の仕組みを修正する

2点目として、「ビジネスの成功にネガティブな影響を与えている人事の仕組みを修正する」について書きます。ビジネスリーダーと信頼関係を構築でき、こちらからの提案を聞いてもらえるようになったら、ビジネスの成功にネガティブな影響を与えている人事の仕組みについて解決するための提案を行います

そのために、それぞれの人事の仕組みの意図や中身を精査して、意図が合っていなかったり中身が合っていなかったりする仕組みを見出しておきます。また、実際の社員の言動を観察して、ビジネスの成功の観点から期待する行動とズレてしまうことをもたらしている人事の仕組みも特定しておきます人事の仕組みと社員の言動の構造を明らかにして、それを解決するためのプランやアクションも明確にしておきます。ビジネスリーダーが提案にオープンになったタイミングで、それらの問題点やその構造、解決策について提案して、ビジネスリーダーの意見をヒアリングします。その意見も反映して、合意したプランやアクションを実施していきます。

例えば、顧客満足を重視する組織をつくっていく方針だとします。一方で、評価制度が、売上の金額のみで評価が決まるような仕組みだとします。報酬制度も、売上金額に応じて報酬金額が決まるような仕組みだとします。また、昇進の仕組みも売上金額が高い人が昇進されるような仕組みになっていたとします。そうすると、顧客満足を重視する方針と実際の人事の仕組みが整合していないため、社員の言動がその方針に沿ったものではないことが起こり得ます。顧客満足を重視する方針であれば、人事の仕組みの意図も顧客満足に則る必要がありますし、中身もそれと整合する必要があります。

私の経験では、この2点目を実現するだけでも、過去の実績と比較して、社員エンゲージメントや業績が大幅に向上しました。

 

ビジネスの成功に良い影響を与えるように人事の仕組みをアップグレードする

3点目として、「ビジネスの成功に良い影響を与えるように人事の仕組みをアップグレードする」ついて書きます。2点目までで、人事の仕組みがビジネスの成功にネガティブな影響を与えることはなく、OKレベルになっています。3点目では、それぞれの仕組みがビジネスの成功によりよい影響を与える段階になります。

例えば、パーパスやミッションなどの存在意義や、ビジネスをする上で大切にすることを規定している価値観、存在意義をより分かりやすくイメージしやすくしたビジョンなどの長期目標について、社員の理解を深めて、社員が是非実現したいと思えるようにすることがあげられます。作りたい組織の状態によってアプローチは変わると思いますが、経営層など一部の人々がこれらを作成して社員を巻き込んでいくやり方もあるでしょう。また、そもそも作成するところから社員を巻き込んで一人一人が自分の想いが込められていると実感できるようなやり方もあるでしょう。

いずれにしても、存在意義や大切にすること、一定期間後の達成状態について、社員が自分事化して良いものと思い是非実現したいと感じている状態をつくることです。そうすることで、仕事だから、組織で働く身だから、というような状態から、これに取り組むことで自分の大切にしていることが実現できたり自分の生きる意味を実感できたりするという状態を実現することができます。

 

人事のメンバーを育成する

4点目として、「人事のメンバーを育成する」について書きます。組織の規模にもよりますが、いままで書いてきた3点目までのことを私一人で実現することは難しいです。更に、継続性の観点で考えると、私一人だけで行うことにあまり意味はありません。人事のメンバーが同様のことができるように育成することで、より大きい規模で、より短期間で、より長期にわたって、ビジネスの成功に貢献することができるようになります。

人事のメンバー一人一人も、その人々が今まで経験してきたことなどによって人事のとらえ方や仕事の仕方、マインドセットなど様々です。一方で、私が人事メンバーと話をしてきた経験からは、ほぼすべての人が、ビジネスの成功に貢献する人事パーソンになりたいと言ってくれています。一方で、そういった経験がないため、自信がなかったり、失敗したらどうしようなどの恐怖を感じていたりします。

私は、できる限り一人一人と向き合い、その人が一歩踏み出せるようにサポートをしています。ありがたいことに、私が行っていることを見ていたメンバーが、「無理だと思っていたが、あなたをみているとできそうな気がしてきた」などと言ってくれた人もいます。その人が一歩踏み出せるようなサポートをして、実際に一歩踏み出したと認識できた際にはそれをしっかり認めて称賛します。一歩踏み出せれば、二歩目は一歩目よりもより容易に踏み出すことができます。

私はよくメンバーに「1年後はだいぶ違う状況になっていますよ」と伝えたり、実際に「半年前の自分と今の自分とを比べるとどうですか」のように質問したりします。私自身がメンバーの成長を実感できること自体がうれしいことですが、メンバーより「当時とは全然違いますね」のようなコメントをもらえるときが非常にうれしい瞬間です。

メンバーが成長して、ビジネスの成功に貢献する人事を実践できるようになれば、その分、より満足を感じられる人々も増えることになります。

 

まとめ

本記事では、ビジネスの成功に貢献する人事の実践について、以下の4つの視点から説明しました。

  1. ビジネスリーダーの要望に応える
  2. ビジネスの成功にネガティブな影響を与えている人事の仕組みを修正する
  3. ビジネスの成功に良い影響を与えるように人事の仕組みをアップグレードする
  4. 人事のメンバーを育成する

これらの取り組みを継続することで、人事は単なる管理部門ではなく、ビジネスの成長を支える重要なパートナーとして機能することができます。

最後までお読みいただきありがとうございます。今回の記事が、少しでも多くの人々の参考になれば幸いです。なお、この記事は私の個人的見解であり、所属組織とは関係ありません。

皆さんは、どのようにビジネスの成功に貢献していますか?

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