企業における社員エンゲージメントの向上の仕方

エンゲージメント

このサイトは、ビジネスの成功に貢献したいと思っているHRのプロフェッショナルと組織マネジメントをより効果的に行いたいと思っているリーダーに対して、私の経験を共有することでお役に立つことを目指しています。

以前の記事で、組織の課題を特定する際に、エンゲージメントサーベイの結果を活用することを書きました。今回は、エンゲージメントについて深堀していきたいと思います。

 

エンゲージメントとは?ビジネスにおいてなぜ重要?

昨今エンゲージメントという言葉をよく聞くようになりましたが、そもそもエンゲージメントとはどういうものでしょうか。(ここでは、従業員エンゲージメントの意味でエンゲージメントという言葉を使います。)

私は、エンゲージメントとは、「従業員が、ビジネスの成功の実現のために自ら進んで必要な行動をとる」ことと考えています。ここでビジネスの成功とは、財務的な結果だけではなく、顧客や株主、上長や経営陣、コミュニティーなどあらゆるステークホルダーが求めることを満たすことが含まれます。その意味では、財務的な結果は、株主や上長、経営陣が求めることを満たすことにつながります。また、財務的な結果は、顧客が求めることを満たせたことの見返りでもあります。より長期的に考えると、財務的な結果を出すことで、次の投資につながり、より良い商品やサービスによって顧客の求めることを更に満たすことにつながっていきます。そして、更なる財務的な結果をもたらして株主や上長、経営陣の求めることをより満たすことにつながり、ひいてはでコミュニティーの求めることを満たすことにもつながります。

エンゲージメントの高い従業員は、このビジネスの成功の実現に必要な行動を自発的にとっていくので、エンゲージメントの重要性はご理解いただけると思います。

 

エンゲージメントを高める取り組み

では、どうしたら、エンゲージメントは高まるのでしょうか。

私は、エンゲージメントが高まるためのアクションを3つのカテゴリーに分けています。具体的には、会社としてのアクション、チームとしてのアクション、個人としてのアクションの3つです。

 

会社のアクション

会社としてのアクションは、以下の図に基づきます。

私は、エンゲージメントを「従業員が、ビジネスの成功の実現のために自ら進んで必要な行動をとる」ことと考えています。つまり、上の図のBehaviorsにあたります。このようなBehaviorsが促進されるためには、その下のReason to Exist(存在意義)からPromotion/Demotion(昇格降格)のところが、適切な意図があり、その意図を実現する中身になっていて、実際の運用が意図を実現するものになっていて、かつそれぞれの仕組みに整合性がとられていることが重要です。

会社としてのアクションは、このあたりを整えることになります。ここについては、今までの記事で議論してきましたので、詳細はそちらをご参照ください。一つ重要なポイントを付け加えるとすると、このアクションをHRのアクションとするのではなく、会社としてのアクションと位置付けることです。つまり、組織のトップが、このアクションにコミットしていることを公に従業員に示すということです。

 

チームのアクション

次に、チームとしてのアクションについて書いてみたいと思います。チームとしてのアクションは大きく2つの観点があります。チームのトップが自らコミットするアクションと、チーム固有の課題に対するアクションです。この2つのアクションは同じものになることもありますが、違うこともあります。

チームのトップが自らコミットするアクションを作るにあたり、次のステップで考えます。まず、自らの言動が、チームのエンゲージメントにどのように影響を与えているかを振り返りますポジティブな影響、ネガティブな影響、ニュートラルな影響の観点で分類していきます。上長や率直にフィードバックをしてくれる同僚に聞くのも有効です。また、関係性ができている場合は、チームメンバーに聞いてみるのも効果的です。その上で、チームのエンゲージメントが更に高まるために、自らの言動で「始めること」「やめること」「続けること」をそれぞれリストアップします。チームのエンゲージメントが更に高まるという観点で、影響力の大きいアクションを特定します。ポイントは、あまり多くのアクションを特定しないことです。「始めること」「やめること」「続けること」それぞれ1つずつでも十分です。これをチームのトップがコミットするアクションとします。

次は、チーム固有の課題に対するアクションについて書いていきます。まずは、エンゲージメントの阻害要因になっていることをリストアップしていきます。そして、その阻害要因が起きている構造を把握します。私の経験では、上の図の運用が意図通りになされていないことが原因である場合が多いです(上の図の仕組みの意図や中身、それぞれの整合性の部分は会社のアクションに該当します。)。この辺りが特定されたら、適切な運用を行うためのアクションが、チームとしてのアクションになります。

 

個人のアクション

ここからは、個人としてのアクションについて書いていきます。私は、エンゲージメントは、「従業員が、ビジネスの成功の実現のために自ら進んで必要な行動をとる」ことと考えます。つまり、エンゲージメントを突き詰めていくと、個人の行動にたどり着きます。会社のアクションやチームのアクションを実施して、上の図の仕組みが正しく設計・運用されるようになったら、多くの場合、エンゲージメントは高まります。しかし、すべての従業員のエンゲージメントが同じように高まるわけではありません。そこには、個々のとらえ方や状況による違いがあるからです。

私は、個人のエンゲージメントは2つの要素から成ると考えます。一つは満足(Satisfaction)、もう一つはコミットメント(Commitment)です。ここで満足とは、その従業員が求めることを得られていると実感している状態を指します。コミットメントとは、その従業員が役割に求められる成果を出そうとしている状態を指します。つまり、満足とコミットメントの両方が高い水準にある状態をその従業員のエンゲージメントが高いということができます。

ここで重要なポイントは、その従業員の満足とコミットメントの両方が高い水準にあるということです。どちらか一方が高い状態だと高いエンゲージメントを実現することは難しいです。例えば、満足は高いがコミットメントが低い場合、その従業員個人にとっては一見良い状況に見えるかもしれませんが、コミットメントが低いため求められる成果に結びつきにくく、ビジネスの成功の実現に繋がりにくくなります。これは、「従業員が、ビジネスの成功の実現のために自ら進んで必要な行動をとる」ということに反します。

では、どうやったら満足とコミットメントの両方の水準が高まるのでしょうか。重要なポイントは、満足とコミットメントをそれぞれ別々に高めることを考えるのではなく、つながりで考えるということです。つまり、コミットメントを追求することで満足も得られるというように考えられることが重要です。

組織で働くにあたり、その従業員には求められる成果があります。この求められる成果の水準を下げることについては、その従業員が直接的にコントロールすることは難しいでしょう。一方で、求められる成果以上の水準を設定することはその従業員がコントロールできることでもあります。つまり、求められる以上の成果を自ら設定し、その成果を出すことに取り組むことが、自らの満足を満たすことにつながると実感できれば、コミットメントも満足も高まり、ひいてはエンゲージメントが高まることになります。

では、この状態はどのようにしたら実現できるのでしょうか。

求められる成果はある意味組織から与えられる所与のものなので、求められる以上の成果はそれよりも高いものに設定することができます。その求められる成果に応じて、求められる以上の成果の観点も決まってきます。量や質、時間などの観点が考えられるでしょう。例えば、求められる成果が売上金額の場合は、その金額の120%をかけた金額を自ら設定するということです。これは量の観点で求められる以上の成果を自ら設定するということです。

この自ら設定した売上金額を達成することに取り組むことで、自らのどのような満足を得られるのかを考えます。ここで重要なポイントは、自らのパーソナルバリューの観点で考えるということです。

パーソナルバリューはその人の良い・悪い、好き・嫌い、楽しい・つまらない等を判断するその人独自の判断基準になります。満足は、その人が求めることが満たされている状態です。その人が求めることを突き詰めていくと、その人のパーソナルバリューにたどり着きます

つまり、その人が自ら設定した、組織から求められる以上の成果を実現するために取り組むことで、その人のパーソナルバリューを満たせることにつながるとその人が実感できると、エンゲージメントは高まります。その人が実感できることが重要なので、このつながりを見つけることはその人が自分で行う必要があります。場合によっては、同僚の話を聞いたり、上長と相談したりすることも有効です。

一端そのつながりを実感できたら、後は適度に振り返ることも重要です。どうしても日々の忙しい状態で業務をしていると、目先の業務をこなすことが目的になりやすく、そのつながりが忘れられやすくなってしまいます。そのため、適度に振り返って、実際にその目標の達成に取り組み自分のパーソナルバリューを満たせた瞬間を思い出すことで、継続的にエンゲージメント高く業務を遂行し続けることができます。上長は、その従業員が振り返りを行えるように適度にサポートをすることができます。

 

まとめ

今回は、エンゲージメントについて述べました。具体的には、以下について書きました。

  • エンゲージメントとは?ビジネスにおいてなぜ重要か?
  • エンゲージメントが高まる取り組み
    • 会社のアクション
    • チームのアクション
    • 個人のアクション

ご覧いただきありがとうございます。今回のポイントが皆様の業務に役立つことを願っています。なお、この記事は私の個人的見解であり、所属組織とは関係ありません。

皆さんは、エンゲージメントが高まるためにどのようなアクションを行っていますか?

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