オウム返しや相槌等が自然とできる傾聴スキルを高めるコツ

ビジネススキル

このサイトは、ビジネスの成功に貢献したいと思っているHRのプロフェッショナルと組織マネジメントをより効果的に行いたいと思っているリーダーに対して、私の経験を共有することでお役に立つことを目指しています。

今回は傾聴(active listening)について書いてみたいと思います。

以前の記事で、私が組織を分析する際に、ステークホルダーとの1:1を活用していることを書きました。また、下の図を使って人事の仕組みの理解を深める際に、それぞれの仕組みの意図やその意図と中身の整合性、その意図や中身と運用の整合性、それぞれの仕組み間の整合性に注目していることも書いてきました。ステークホルダーとの1:1や人事の仕組みの理解を深める際にも傾聴のスキルが重要になってきます。

 

傾聴とは

私は、傾聴とは、「聴き手が、質問によって話し手の状況を理解すること」と考えています。簡潔に言うと、積極的に質問をして理解するといったところでしょうか。私は、傾聴を3つの段階で考えています。第一段階は「話し手の言っていることを理解する」、第二段階は「話し手が言っていることの状況を理解する」、第三段階は「話し手は本当はどんなことを伝えたいのかを理解する」です。次のパートからはそれぞれの段階について書いていきます。

 

第一段階:話し手の言っていることを理解する

第一段階は、「話し手の言っていることを理解する」です。話し手がどんな言葉を使っているのかを理解するということです。もし使っている言葉がよくわからない場合は、明確化のための質問をします。

例えば、ビジネスリーダーから「プレゼンテーションの研修をしてほしい」という要望があったとします。第一段階では、プレゼンテーションの研修をしてほしいという要望を理解した上で、自社にある研修について説明したり、外部の研修を調べたり、実施に向けた日程や参加者を決めていくといったアクションにつながっていきます。

 

第二段階:話し手が言っていることの状況を理解する

第二段階は、「話し手が言っていることの状況を理解する」です。その話し手がなぜそういうことを言っているのかについて理解します。どんな構造によって、その話し手はそういうことを言っているのかを理解するようにします。その構造を理解するために質問をして明確にしていきます。

例えば、先ほどのビジネスリーダーから「プレゼンテーションの研修をしてほしい」という要望を受けた例を使うと、そのビジネスリーダーがなぜ「プレゼンテーションの研修をしてほしい」と言っているのかを理解します。どんな構造がビジネスリーダーに「プレゼンテーションの研修をしてほしい」ということを言わせているのかについて理解するということです。そのために、例えば、「プレゼンテーションの研修が必要だと感じられた時のことを話してもらえますか」のように質問をして理解を深めていきます。

その時のことをより具体的に理解するために、追加の質問をしていきます。例えば、「それはいつのことだったのか」「どんな場面で起きたことだったのか」「その場には誰がいたのか」「何をしている時だったのか」「具体的にどのようなことが起きたのか」などについて質問をしています。ここでは、あたかも聴き手である自分がその場に一緒にいたかのようにイメージできるように聴いていきます。

このようなことを行うことで、話し手がなぜ「プレゼンテーションの研修をしてほしい」と言ったのかをより具体的にかつ明確に理解できるようになります。

 

第三段階:話し手は本当はどんなことを伝えたいのかを理解する

第三段階は「話し手は本当はどんなことを伝えたいのかを理解する」です。話し手の本当の意図を理解するということです。第二段階までの理解に基づくと、話し手は実際こういう言葉を使っているが、本当はこういうことを伝えたいのではないかと考えてそれを確認していきます。

先ほどのプレゼンテーションの研修の例を用いてみます。第一段階では、ビジネスリーダーが「プレゼンテーションの研修をしてほしい」と言っているということを理解します。第二段階では、なぜ「プレゼンテーションの研修をしてほしい」と言っているのかについて理解します。例えば、そのビジネスリーダーがプレゼンテーションの研修が必要だと感じた状況を理解すると、チームメンバーがあるキャンペーンについての提案をチーム内で話していた時に、その場にいたそのビジネスリーダーがそのチームメンバーの提案内容をなかなか理解することが難しかったといったことが分かったとします。そして、理解することが難しかったのはなぜかを確認していくと、そもそものロジカルシンキングに改善の余地があることがわかりました。更に、そのビジネスリーダーが、プレゼンテーションに課題があると思ったのはその個人についてであって、チームに共通することではなかったこともわかりました。

第三段階では、第二段階までの理解に基づいて、本当に伝えたいことは「その個人のロジカルシンキングのスキルを向上するためのアクションを一緒に考えてほしい」ということを理解して確認していきます。

傾聴のスキルというと、相槌やアイコンタクト、オウム返し等のテクニックがよく取り上げられます。これらのテクニックは非常に有益ですが、傾聴のスキルは多様であり、人によって異なるアプローチが効果的である場合もあります。

大切なのは、第一段階から第三段階で行うことに注力して、自分に合ったスタイルを見つけていくことです。私自身も、これらのテクニックを理解したうえで、第一段階から第三段階で行うことに集中することによって、自然に応用できるようになりました。

また、私が傾聴のトレーニングを企画・開発・実施した際には、これらのテクニックを理解した上で、これらのテクニックを使うことを主眼とするのではなく、第一段階、第二段階、第三段階のそれぞれで行うことに集中してもらうようにファシリテーションを行いました。その結果、参加者は自然とこれらのテクニックを意識せずに活用されていました。一緒にロールプレイングを行っていた相手からフィードバックを受けて、初めて自分がそのテクニックを使っていたことに気づいた参加者も多かったです。

 

まとめ

今回は、傾聴について述べました。具体的には、以下について書きました。

  • 傾聴とは
  • 第一段階:話し手の言っていることを理解する
  • 第二段階:話し手が言っていることの状況を理解する
  • 第三段階:話し手は本当はどんなことを伝えたいのかを理解する

ご覧いただきありがとうございます。今回のポイントが皆様の業務に役立つことを願っています。なお、この記事は私の個人的見解であり、所属組織とは関係ありません。

皆さんは、傾聴のスキルをどのように活用していますか?

コメント

タイトルとURLをコピーしました