上司の言葉が私の成長を加速させた理由

L.ビジネススキル

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私は、今までたくさんの素晴らしい上司と仕事をする機会に恵まれてきました。一緒にお仕事をさせていただく中で多くのことも学びました。それらは、私のマネジメントスタイルにも大きな影響を与えています。今回は、私が大きな影響を得た上司の言葉について書いてみたいと思います。

 

“私には結論が出ているように思える。私はそれをサポートするよ。”

当時の私は、様々な組織上の問題を特定していました。本質的に考えると最適なアクションはこれだと思えるものがありました。一方で、他の要因を考慮すると、そのアクションが最適だとは言い切れないのではないかとも思わざるを得ない状況でした。そういった思考がぐるぐる回り、堂々巡りになっていました。

今となっては、当時の上司に具体的にどのように話したのかは明確には覚えていないのですが、上で書いたようなことを話したのだと思います。話した内容や話し方はよく覚えていないのですが、その時その上司が私に言ってくれたことははっきりと覚えています。それは、「私には、あなたは結論が出ているように思える。私は、それをサポートするよ。」というものでした。

上司と部下の会話であれば、目的や課題、解決策、必要なサポート等を明確にして上司に提案し議論するということが通常なのではないでしょうか。当時も私も普段はそのような会話をその上司としていました。そのため、「本質的な解決策はこれだが、この要因を考えるとそうでもない」といった内容であれば、「もう一度考えをまとめてきて」と言われてもおかしくなかったと思います。

しかし、その上司は、「私には結論が出ているように思える。私はそれをサポートするよ。」と言ってくれたのです。更に、その言葉の前に、「あなたがそういう状態になるのも、私には理解できる。」と言ってくれていました。当時の私の立場では、他の要因に対しては明らかに自分のコントロールできる範囲を超えていたのです。かといって、その要因に対して上司に対応をお願いするというものでもありませんでした。

その上司からその言葉を聞いたときに、私は衝撃を受けました。いくつものポジティブな感情を体感しました。「これほどまでに自分のことを信頼してくれている」「私のポイントを理解してくれている」「私は一人ではない」「私の集中すべきことは明確になった」など様々な感情を経験して、自分のアクションが明確になり、自信をもって進むことができました。そのアクションをとることによって組織にとっても良いことが起き、結果も伴いました。

 

“緊張するようなタイプでもないでしょう。”

当時の私は、管理職としての経験を積み始めた段階でしたが、学びながら成長できる機会を得ました。組織の制度に基づくプロセスを経てハイポテンシャル人財と特定されて、グローバルやアジア地域、日本の経営陣の前でプレゼンテーションを行って質問に答えるという機会を初めて頂戴しました。その時は2名がその機会を与えられて、私はそのうちの一人に選ばれたと記憶しています。

通常業務を行いながらその準備を進めてきました。自分ではそこまで意識はしていなかったのですが、その上司には、私がナーバスになっていることが伝わったのだと思います。そこで、「あなたは、緊張するようなタイプでもないでしょう。」と言ってくれたのです。一見すると、緊張している人間の緊張をとるために配慮された言葉のようにとらえられるかもしれません。しかし、「あなたは、緊張するようなタイプでもないでしょう。」という言葉が私にとっては意味がありました。

緊張を和らげるのであれば、「大丈夫ですよ。」や「リラックスして。」、「大きく深呼吸するといいよ。」などの言葉も考えられます。笑いが起こるようにしてその場を和ませるということも考えられるでしょう。

そのようなことも考えられる中で、その上司は、「あなたは、緊張するようなタイプでもないでしょう。」と声をかけてくれたのです。この言葉には、今まで一緒に仕事をしてきたことから得たその上司の私に対する理解やその上司が私に伝えたいメッセージが詰まっていました。私は、その言葉として発せられてはいないがその言葉に込められたメッセージを受け取りました。そして、「あなたは、緊張するようなタイプでもないでしょう。」という言葉のみを言ってそのメッセージに気付かせてくれたことに感謝するとともに、一気に視界が開けました。

プレゼンテーションの当日、指定された部屋に入ると、来日されたグローバルの経営陣やアジア地域の経営陣、日本のすべての経営陣がずらっといらっしゃいました。その光景に一瞬圧倒されかけましたが、日本の経営陣の一人として参加されていたその上司が大きくうなずく様子を見て一気に落ち着きました。プレゼンテーションも予定通りに行うことができ、質問についても、その質問に込められた意図や、どうしてその質問にその言葉が使われたのかなどについても理解できて、落ち着いてそれらを踏まえた回答をすることもできました。その場が終了した後に、質問の意図や使われた言葉の意図の説明を受けましたが、私が想定したことと同じ内容でした。

 

“最後は自分で行えばいい。”

私は、よくメンバーから「任せてくれる」と言われます。基本的には、期待される成果をお互いが明確に理解できた後は、その本人に任せて提案を作ってもらい、私はその提案の質を保証するために本人の状況に応じてフィードバックをしていくというようにしています。このようなマネジメントスタイルをとれるようになったのは、当時の上司に言われた、「最後は自分で行えばいい。」という言葉です。

当時私は、ビジネス環境の変化に適応するために、人事の仕組みをほぼすべてゼロベースで見直して、スクラッチから創り直すということを行っていました。グレードの仕組みや報酬の仕組み、採用の仕方、社員エンゲージメントサーベイなどについてはゼロから創り変えました。トレーニングについては、グローバルのベースとなるトレーニングを参考にしながらも日本の状況に合わせてコンテンツやデリバリーをゼロから設計しました。いわば、人事の仕組みをほぼすべて創りかえるということを行っていました。ものによっては、今まで経験したことがないものもあり、ほぼ知識がないところがスタートしたものもありました。更には、通常のチームマネジメントも行っていました。

その上司は、私の成長を促すために、自分の考えを整理しながら提案を作る機会を与えてくれました。そして、私の提案にフィードバックをしてくれ、私はそのフィードバックも考慮してさらに内容をより良くしていくということを行っていきました。そのようなやり取りをしている中で、その上司が「最後は自分で行えばいい。」と言ったことを覚えています。

このやり取りを通じて、私は大まかなタイムラインの考え方も学びました。この考え方がそれ以降の私のチームマネジメントに大きな影響を与えています。求められる成果を決められた期間に出すということを考えたときに、まず自分で行う場合にどのくらいの時間が必要かを考えます。その上で、期待される成果を本人とアラインして、その後はその本人に任せます。その本人は自分で考えたり調べたり人にアドバイスを求めたりして提案を作っていきます。私は、その提案に対してその本人の状況を考慮して成果を挙げられるようにフィードバックをしていきます。本人の状況によっては、コーチング的になったりティーチング的になったり、カウンセリング的になったりします。

これによって多くのポジティブなことを経験しています。その本人のオーナーシップが高まったり、明らかな成長を実感できたり、アウトプットが私の想定する以上の質になったりしています。また、このやり方を始めて以来、自分で行うためにすべて引き取るということは起きておらず、その個人がやり遂げることができています。

 

まとめ

今回は、私が大きな影響を受けた上司の言葉について書いてみました。この3つの言葉は、私のビジネスパーソンとしての成長にとても大きな影響を与えてくれています。

最後までお読みいただきありがとうございます。今回の記事が、少しでも多くの人々の参考になれば幸いです。なお、この記事は私の個人的見解であり、所属組織とは関係ありません。

皆さんは、上司からどのような影響を受けましたか?

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