1on1の効果的な進め方:信頼構築と課題解決

L.ビジネススキル

このサイトは、ビジネスの成功に貢献したいと思っているHRのプロフェッショナルと組織マネジメントをより効果的に行いたいと思っているリーダーに対して、私の経験を共有することでお役に立つことを目指しています。

今回は、1 on 1について書いてみたいと思います。皆さんは、1 on 1をどのように行っているでしょうか。いろいろな方法があると思います。私は、対象とする人やその人の状態等を考慮して行っています。対象とする人は、ビジネスリーダーや自組織のメンバーなどです。この後のパートで詳細に書いていきます。

 

ビジネスリーダーとの1 on 1

ビジネスリーダーとの1 on 1では、そのビジネスリーダーにとっての課題を把握して、解決策を立案・提案・合意したうえで実行し、ビジネスサクセスに貢献することを目的とします。

そのために、最初の1 on 1では、ビジネスリーダーと信頼関係を構築し、課題を共有してもらうことを目指します。そのために、自己紹介をオープンに行ってお互いの理解を深め、気軽に話ができる関係を構築します。どちらから自己紹介をするのかについては、ビジネスリーダーに確認し、特にビジネスリーダーから行いたいということがない場合は、私から行っていきます。その時に、できる限りオープンに話します。この時の留意点は、ビジネスリーダーに、信頼できて率直に話ができる人だと思ってもらうことです。そのために、自分の今までの成功体験や強みに加えて、場合によっては失敗体験や弱みなどについても話します。

また、自分にとって適切であると感じた場合には、職業人生以外の個人的なことも共有します。ポイントとしては、自分の人生において、自分が担っている役割をリストアップしてみて、どの役割を話すことでそのビジネスリーダーとの信頼関係を構築することにつながりやすいのかを考えることです。例えば、親としての役割、地域のクラブ活動で担っている役割、所属しているボランティア団体での役割など、自分の職業人生以外で担っている役割を考慮して、ビジネスリーダーとの関係構築に役立ちそうなものを選んで、話します。

自分のことを知ってもらおうとオープンに自己紹介することで、ビジネスリーダーにもよりオープンに話してもらいやすくなる可能性が高まります。そのビジネスリーダーの理解をより深めることができれば、この後に行う、ビジネスリーダーの課題を把握することにもつながっていきます。

オープンな関係が構築できたら、課題を特定するために、理解することに集中します。ビジネスリーダーが考えている課題を聞いてみます。または、そのビジネスリーダーにとってのビジネスサクセスとはどういうものかを聞きます。その上で、理想とする状態とはどういうものか、現状はどうか、現状から理想状態になるためにどのような障害があるのか、その障害を克服するためにどのようなことを行おうとしているのか、HRにどのようなことを期待しているのかなどについて理解します。ここでは、そのビジネスリーダーがどのようにとらえていて、どのような言葉を使って表現をするのかについて理解するようにします。最後に、今後の1 on 1の頻度も確認します。ビジネスリーダーの要望を第一にして、ビジネスリーダーに強いこだわりがなければ、ビジネスサクセスの観点から適切だと思う頻度と時間を提案します。私の経験では、週1回の頻度で、時間は30分の場合が多いです。

初回の1 on 1以降は、定期的な1 on 1になります。定期的な1 on 1では、まず、ビジネスリーダーに相談事項を聞き、その場で解決できるものはその場で回答します。その場で解決できないものは一度持ち帰り、なるべく早いタイミングで返答します。そして、お互いの情報交換を行います。また、提案事項をビジネスリーダーに話し、ビジネスリーダーにフィードバックを求めます。この提案内容は、初回の1 on 1で聞いたビジネスリーダーの考えている課題を解決するための包括的なプランであったり、その包括プランを実現するための個別のプランであったり、ビジネスリーダーからは話が出なかったが人事の専門家として気づいたことに関するものであったりします。いずれにしても、ビジネスサクセスの観点から取り組んだ方がよいと思うことについて提案を行い、ビジネスリーダーからフィードバックをもらってそのプランをより良いものにしていきます。また、すでに合意した提案事項について、進捗の共有も行います。

 

自組織のメンバーとの1 on 1

自組織のメンバーとの1 on 1は、直属のメンバーとの1 on 1と、それ以外のメンバーとの1 on 1に分けられます。

まず、直属のメンバーとの1 on 1について述べます。初回の1 on 1では、ビジネスリーダーとの1 on 1で書いたお互いの自己紹介に加えて、その人が仕事をする上で大切にしていることやキャリアビジョンについても理解します。また、その人が考える、会社や人事チームの良いところや改善したほうがいいところについて理解するようにします。更に、どういうときにモチベーションが上がり、どういうときにモチベーションが下がる傾向にあるのかについても理解します。その際には、実際にモチベーションが上がったときや下がったときのことを思い出して話してもらいます。そして、ラインマネージャーとしての私に聞きたいことや知っておいた方が良いことを質問します。初回の1 on 1では、ビジネスリーダーの時と同様に、信頼関係を構築し、オープンに話せるようになることを目指します。直属のメンバーとの1 on 1の頻度と時間は、私の場合は、週1回か隔週で1回の頻度で、時間は30分の場合が多いです。

初回以降の1 on 1では、パフォーマンスマネジメントの仕組みをメインに活用して行います。まず、その年の目標設定の1 on 1を行います。これは通常の1 on 1とは分けて別途時間をとって行うこともあります。目標設定では、組織の存在意義から始まり、組織の目標、人事チームの目標、個人の目標に細分化されていきます。個人の目標がどのように決まってきたのか、具体的にどのようなことを達成することを期待しているのかについて説明し、不明点や懸念点を確認して解消していきます。その上で、その個人の目標を達成しようと取り組むことで、自分のパーソナルバリューをどのように満たし、キャリアビジョンの実現にどのように近づけるのかについて質問して、本人に考えてもらいます。

目標が設定された後の1 on 1では、その目標を達成することを目的として行うことがメインとなります。そのために、まずは進捗を確認します。予定通りに進んでいるか、予定通りに進んでいない場合はどうやって予定通りになるようにするのか、そのためにどのようなことを行うのか、上長としての自分のどんなサポートが必要かなどについて話をします。成果物を作成して展開する場合には、その成果物自体と展開プランの品質を保証できるようにします。

その中で、必要な育成を行います。その目標を達成するために知っておいた方がいいことや身に着けた方がよいスキルやものの考え方などについて話します。その人の習得状況や1 on 1で使える時間、目標達成の観点から許容される残りの時間等を考慮して対応していきます。その場で自分から説明することもあれば、「〇〇について調べてみてください」と言うこともあります。または、質問をすることで、その人に考えることを促したり、考えを自分でまとめていったり、アウトプットにつなげたりしていきます。また、実際に成長していると感じているところを率直にフィードバックしたり、1年前や半年前の自分の状態を思い出してもらったりして、自身の成長を振り返り、自信を深めてもらうことも重要です。

また、モチベーションにも配慮します。週1回または隔週1回の頻度で1 on 1を行っていると、普段と様子が違うと感じる時もあるでしょう。元気がないように感じられたり、笑顔が少なかったり、表情や話すトーンが普段と違ったりといったように、ちょっとした違和感があることもあります。その時は率直に、質問をして聞いてみます。率直に話してもらえたら、その内容に対応します。または、日々の業務に忙殺されていると、業務に追われて全体の目的を見失うこともあります。その際には、その人のパーソナルバリューやキャリアビジョンを思い出すように促します。目標設定の時に行った、自分の目標と自分のパーソナルバリューやキャリアビジョンとのつながりを再度明確にしていきます。場合によっては、この組織から内定をもらった時や入社した時のことを思い出してもらって、なぜこの組織で働くことを選んだのか、この組織でどのようなことを成し遂げたいと思ったのかなどについて明確にしていきます。更に必要があれば、最近充実していたことや楽しかった時のことを具体的に思い出してもらい、その時のことを今どのように活用することによって自分自身でモチベーションを上げることができるのかを考えてもらうことも行います。

キャリアの話も行います。キャリビジョンや将来的にどのようなことを行いたいのか、どのようになりたいのか、そのために、次はどのような役割を担いたいと思っているのかなどについて理解します。その上で、それらを実現するには、どのような知識やスキルを身につける必要があるのかを話し合い、今の役割を担うことで身に着けられるものについて明確にします。更に、仕事の場以外でどうやってそれらの知識やスキルを身に着けるのかについて考えてもらいます。

それ以外のメンバーとの1 on 1について書いていきます。初回の1 on 1は、直属のメンバーとの1 on 1と同じ内容で行います。ここでも信頼関係を構築し、率直に話ができると思ってもらえるようにします。

その後の1 on 1の頻度は、組織の規模によりますが、少なくとも年2回は実施します。内容は、仕事をする上で現在困っていることがあれば、それを最優先に聞きます。その困っていることがどうして起きているのかについて、問題の構造が理解できるように具体的に聞いていきます。その上で、本人がアクションすることで解決できそうか確認します。本人のアクションだけでは解決が難しそうであれば、この話をその本人の上長に共有して大丈夫かどうかを本人に確認します。共有して大丈夫となったら、後ほど上長に話して必要なアクションを促します。そして、次回の1 on 1の時に、その困っていることがその後どうなったのかを確認します。

困っていることが特になければ、そのメンバーが話したいことや聞きたいことを聞いていきます。そして、そのメンバーの上長や同僚との関係は良好かどうか、どのようなサポートをしてくれているか、キャリアビジョンや次に挑戦してみたい役割に変更はあるかどうか、成長を実感したことはどんなことかなどについて聞いていきます。

 

まとめ

今回は、1 on 1について述べました。ご覧いただきありがとうございます。これらはあくまで私自身の経験と考えに基づくものですが、多くの方々にとっても有益なヒントとなることを願っています。なお、この記事は私の個人的見解であり、所属組織とは関係ありません。

皆さんは、1 on 1をどのように行っていますか?

コメント

タイトルとURLをコピーしました