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今回は、プレゼンテーションについて書いてみたいと思います。皆さんは、どんな時にプレゼンテーションをするでしょうか。ビジネスの状況について共有する時や、何か提案をする時、新しい施策について説明する時、リサーチの結果を共有する時など、いろいろな場面があると思います。
プレゼンテーションとは?
私は、プレゼンテーションを「自分が望む人に、自分が望む行動をとってもらうために行う行為」と考えています。ここから考えられる重要なことは、「自分が望む人」と「自分が望む行動」、「そのために行う行為」の3点になります。「自分が望む人」とは誰のことか、その人に「自分が望む行動」とはどういったことか、「そのために行う行為」とはどういうことか、について考えることが必要です。
自分が望む人(聞き手)は誰か
まずは、自分が望む行動を起こしてほしい人を明確にして、その人の理解を深めます。その人は、具体的に誰なのか、何を求めているのか、何に困っているのか、どういう状況にいるのか、どういう役割を担っていて、どんな目標を持っているのか、どういうことに興味を持っていて、よくどんな言葉を使うのか、何を知っていて、何を知らないのか、理解する際に文字を好むのか、それとも図や写真を好むのかなどについて、できる限り理解するようにします。
例えば、自分が提案することを承認してもらう人だとした場合、直接的には公式の承認権限を持っている承認者になります。ただし、この承認者が承認を決定することに影響を与える人がいる場合には、公式な承認権限を持っていない場合でもその人についても理解する必要があり得ます。
社外の不特定多数の人に対してプレゼンテーションをする際は、人の理解は難しいところはありますが、その人々のプレゼンテーションを聞きに来た目的や役割、立場、経験、自分と共通して知っていることなどについてできる限り理解するようにします。
自分が望む行動
次は、自分が望む行動を明確にします。このプレゼンテーションが終わったら、「自分が望む人」にどんな行動をとってほしいのかについて具体化します。例えば、プレゼンテーションで提案する内容を承認して欲しいのか、内容をより良くするためのアドバイスが欲しいのか、情報として内容を知って欲しいのか、「聞きに来てよかった」という感想を他の人に伝えて欲しいのか、などが考えられます。
そのために行う行為(組み立て方やスライドの作り方)
最後が、「そのために行う行為」です。「自分が望む人」と「その人に望む行動」の理解を深めることで得られたことを、「そのために行う行為」に活用します。どうしたら、「自分の望む人」が「その人に望む行動」を行ってくれるのかについて考えます。
例えば、聞き手が論理的な説明を好むタイプであれば、論理的な構成を心がけます。また、文字よりも写真のほうを好むタイプであれば、写真を使って話すようにします。このように、プレゼンテーションの中身や構成は、聞き手の好むタイプに配慮しながら、柔軟に適応することが重要です。
ここからは、より皆さんにイメージしていただけるように、私がプレゼンテーションをしていて効果を実感したことについて書いてみたいと思います。構成については、「注意をひく(Get attention)」「「なるほど」や「その通り!」を得る(Get “A-ha” and “Yes!” )」「「わかった。そうしよう」( “OK, I will do” )」の3つです。
注意をひく(Get attention)
プレゼンテーションの冒頭で大切なことは、聞き手の注意をひくことです。聞き手がプレゼンテーションを聞く体制を整えるということです。すでに聞き手がプレゼンテーションを聞く準備が整っていれば、単に「では、始めましょう」と言うだけで十分でしょう。一方で、聞き手がまだ準備が整っていなければ、自分のプレゼンテーションに注意を向けてもらうためのアクションを行います。場面によっては、視覚や聴覚に訴えるアクションが有効です。例えば、手を叩いて音を出したり、簡単なクイズを出したりすることも考えられます。また、場合によっては、話を一時的にやめて沈黙を作ることが効果的な場合もあります。どのアクションを取るかは、場の雰囲気や聞き手の状況に応じて選びましょう。
聞き手が自分のことを知らない場合は、簡単な自己紹介をして、その中で自分がそのトピックについて話すのにふさわしいことを聞き手に理解してもらうことが必要です。
聞き手が、プレゼンテーションを聞く準備が整ったら、プレゼンテーションの全体像について話します。今回のプレゼンテーションでは、何について話すのか、最初どんなことを話し、次にどういったことについて話し、最後に何を話すのかを最初に伝えます。これによって、聞き手はプレゼンテーションの大きな流れが分かるので、その後話されることをより理解できるようになります。
「なるほど」や「その通り!」を得る(Get “A-ha” and “Yes!” )
全体像について話したら、個別の具体的な内容に入っていきます。ここで最も重要なことは、プレゼンテーションが終わったら、聞き手が望む行動をとれるようにストーリーや論理を組み立てていくことです。
望む行動をとってもらうために論理がしっかりしていることは重要です。事実やデータを活用して、聞き手が「なるほど」と思えたり、「そうだ!言っている通り」と思えたりするようにしていきます。
一方で、聞き手にもよりますが、論理のみで望む行動をとってもらうことが難しい場合もあります。その際には、聞き手の感情に訴えるようなストーリーを考える必要があります。聞き手が「なるほど」「その通り」と思える気持ちになるようにストーリーを組み立てます。
プレゼンテーションの資料を作る際は、聞き手のスタイルを参考にします。聞き手が、写真や図を好むのであれば、論理やストーリーを話す際に写真や図を用いて、文字はなるべく少なくします。一方で、聞き手が文字を好むのであれば写真よりも文字を活用します。その際は、図を使う場合でも、文字を入れるように配慮します。ただ、聞き手が文字を好んだとしても、文字数が多くならないように留意します。スライドに文章をそのまま書くのではなく、キーワードのみを書くようにします。スライドに文章をそのまま書いてしまうと、聞き手はスライドを読むことに集中してしまい、あなたから注意が離れてしまいます。結果的に「望む行動」を期待することが難しくなってしまいかねません。「スライドはあくまでもサポートツール」という認識を持つことが大切です。
「わかった。そうしよう」( “OK, I will do” )
プレゼンテーションを聞いて、聞き手が内容に納得できたら、最後に「望む行動」をしてもらうことを確約します。例えば、「望む行動」が提案に対する承認を得ることであれば、承認することを確約してもらうことになります。
ここで、「望む行動」がスムーズに得られない場合には、その理由を確認していきます。「何か懸念はありますか?」のような質問をして、理由を具体的に明らかにしていきます。以前の記事で議論した、傾聴のスキルや、明確化(Clarification)や確認(Confirmation)を活用して、その理由の真意を明らかにし、それに対する提案(Proposal)を行って、聞き手が納得の上で「望む行動」を行えるようにします。
まとめ
今回は、プレゼンテーションの構成の仕方について述べました。具体的には、以下について書きました。
- プレゼンテーションとは
- 自分が望む人(聞き手)は誰か
- 自分が望む行動
- そのために行う行為(組み立て方やスライドの作り方)
- 注意をひく(Get attention)
- 「なるほど」や「その通り!」を得る(Get “A-ha” and “Yes!” )
- 「わかった。そうしよう」( “OK, I will do” )
ご覧いただきありがとうございます。今回のポイントが皆様の業務に役立つことを願っています。なお、この記事は私の個人的見解であり、所属組織とは関係ありません。
皆さんは、どのようにプレゼンテーションを構成していますか?
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