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今回は、私が人事の仕組みを理解する方法について掘り下げたいと思います。
人事の仕組みをより深く理解するために、以下の図を活用しています。その使い方について説明します。
仕組みの意図
まず、各仕組みの意図を確認します。つまり、各仕組みが何を達成しようとしているのかを理解します。理想的には、図の下部から順番に理解を深めることですが、残念ながら、そのようにできることはまれです。したがって、利用可能なものから理解するようにします。例えば、その組織のパフォーマンスマネジメントの仕組みが何を目指しているかを調べます。
仕組みの具体的な内容
次に、各仕組みの具体的な内容を理解します。それぞれの仕組みを分解して、その構成要素やタイムラインなどを理解します。たとえば、パフォーマンスマネジメントに関しては、目標の設定、評価基準の定義、テンプレート、ツール、トレーニング内容やタイミングなどの要素について詳しく理解します。意図と仕組みの内容とが整合性を保っていることが重要ですが、これが常に実現されるわけではありません。
仕組みの運用
そして、各仕組みがどのように運用されているかを確認します。社員がそれぞれの仕組みをどのように認識し、理解し、活用しているかを理解します。例えば、社員はパフォーマンスマネジメントをどのように認識しているのか、誰が目標やレイティングを決定するのかなどを調べます。なぜそのような運用がなされているのかを理解するには、その利用者の理解を深く掘り下げることが不可欠です。私は「Why」「Will」「Can」という3つの観点を考慮します。利用者はその仕組みがなぜ必要なのかを理解しているか？それを使いたいという意欲があるか？活用するスキルを持っているか？これらの側面をより深く理解することで、その仕組みが意図通りに機能しない理由を特定するのに役立ちます。
仕組みの整合性
個々の仕組みを理解するだけでなく、それらの間の整合性を把握することも重要です。例えば、サクセッサーマネジメントがポテンシャルの高い人材の成長を加速させることを目指している一方で、昇進の基準が現職で最低5年間の経験を求めている場合、矛盾が生じます。
私の経験から、人事の仕組みを理解することによって、意図の不明確さ、意図と内容の整合性の欠如、意図と運用の不一致、および仕組み間の整合性の欠如など、典型的な発見をしました。
Behavior（行動）
上図の「Behavior」は社員の実際の行動を表しています。「Behavior」は根底にある人事の仕組みの影響を受けると考えています。すべての行動が人事の仕組みに帰着できるわけではありませんが、それらは大きな影響を与えます。メカニズムを理解することで、行動を予測し、観察によって確認できます。逆に、行動を観察することで、対応するメカニズムを調査することになります。上向きと下向きの矢印は、このプロセスを示しています。
例えば、新しいことに挑戦する意欲が不足している場合、関連するメカニズムを調査します。パフォーマンスマネジメントの目標がイノベーションを促進していない可能性があるか、昇進の基準が新しいことを試みるよりも既存のプロセスを改善した人を評価する可能性もあります。したがって、メカニズムを理解することで、観察された行動の根本原因を特定できます。
Business Success（ビジネスサクセス）
「Business Success」は財務的成果やその他の側面を包括しています。私はデイブ・ウルリッチ氏のステークホルダーモデルからインスピレーションを得ました。人事メカニズムは社員に価値を提供し、エンゲージメントの高い社員は顧客に価値を提供します。この価値に満足した顧客は、良いフィードバック（財務的、評判的など）の形で経営層、投資家、社員に価値を提供します。このプロセスでは、コミュニティに価値が提供され、その結果として、経営層、投資家、社員にフィードバックを通じて価値が提供されます。この好循環が理想的な「Business Success」です。
BehaviorとBusiness Successの間の矢印
「Behavior」と「Business Success」の間の矢印は、前述のものと同じ意味を表しています。起こっている「Behavior」を理解し、「Business Success」の状態を予測し、確認します（上向きの矢印）。 「Business Success」の状態を理解し、「Behavior」の状態を予測し、確認します（下向きの矢印）。
「Business Success」、「Behavior」、そして人事の仕組みの間を行き来して理解を深め、理解を構造化し、提案を作成します。これらの提案はビジネスリーダーと議論して、実行可能な決定につながります。
データと直感
データは理解を深める上で重要です。客観的な視点を提供し、更に提案段階では重要な役割を果たします。一方で、データと並行して、直感も重視しています。デジタル化されていない情報や直接の経験も重要です。デジタルと非デジタルの情報を組み合わせて、問題を継続的に分析します。そして、直感から得られた洞察がしばしば突破口になります。これは私の個人的な意見ですが、最近では人事の世界がデータ主導として言及されることが多いことは良いことだと思います。しかし、これがあまりにも過度になってデータ至上主義につながらないことを願っています。そして、人事担当者が本来持っていた感性や感覚、共感といった強みを自ら捨てることがないように願っています。データに基づく洞察と人間の感性を組み合わせることで、より良い人事戦略が生まれると信じています。
権威からの学びと自らの工夫
上の図自体は、デイブ・ウルリッチ氏や他の様々な権威の方々から学んだことに基づいて、自分の使いやすさのために作成しました。彼らに対する最大限の感謝と尊敬を抱いている一方で、図自体は私自身の思考のクセを反映していると思います。したがって、この図をそのまま使用するのではなく、個々のニーズに合わせてカスタマイズすることをお勧めします。
まとめ
今回は、人事の仕組みをどのように理解するかについて書きました。皆さんのお役に立てれば幸いです。より具体的には、上の図を使って以下の理解に活用しています。
- 仕組みの意図
- 仕組みの具体的な内容
- 仕組みの運用
- 仕組みの整合性
また、BahaviorとBusiness Successについて確認しました。
更に、データと直感を組み合わせて分析することも述べました。
なお、この記事は私個人の意見を反映したものであり、いかなる組織とも関連していません。
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