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今回は、カルチャーの変革について書いてみたいと思います。ここでいうカルチャーとは、組織のカルチャーのことを意味します。カルチャーの変革ということをよく聞くようになりました。HRの役割の一つと言われることもあります。皆さんの中にもカルチャー変革に携わっていたり、以前に携わられたりした方もいらっしゃるのではないかと思います。
では、なぜカルチャーの変革が必要なのでしょうか?また、そもそもカルチャーとはどういうものなのでしょうか?以降のパートで、まず私が考えるカルチャーについて述べ、その後にカルチャー変革が必要な理由についてより詳細に議論をしていきます。
組織カルチャー(組織風土・文化)とは?要素は?
私は、組織のカルチャーとは、「その組織のメンバーが、自分たちはどういった存在で、何を大切にしているかを表し、それらが行動に反映されたもの。そして、ステークホルダーがその組織をどのように認識しているかを表したもの」と考えています。つまり、私が組織の状態を分析する際に活用している下の図でいうところの、「存在意義(Reason to exist)」「長期目標(Long-term goals)」「価値観(Values)」が組織のメンバーの行動に反映されたものになります。そして、ビジネスの成功として、組織のメンバーや顧客、投資家、コミュニティ、経営者などのステークホルダーが得る価値によって、彼らがその組織をどのように認識しているのかを表します。

以前は、組織のカルチャーを「ある状況になったときにその組織のメンバーが典型的にとる行動」と考えていましたが、一方で、言葉にできないもののちょっとした違和感も感じていました。
先日ある会合に出席して議論をしている中で素晴らしい洞察を得ました。カルチャーにはアイデンティティの要素も含まれるという視点が共有され、私の考えが大きく広がりました。この学びによって、私の違和感は解消され、すとんと腑に落ちました。
私が行っていることでいうと、カルチャーとは、組織の「存在意義」や「長期目標」、「価値観」が人事の仕組みを通じて組織のメンバーの行動によって体現されて、すべてのステークホルダーに認識されているものになります。つまり、先ほどの図が言葉で表現されたことになります。自分自身で言葉にはできていなかったものの、自分が今まで取り組んできたことであることが分かったため、より納得感が高まりました。
カルチャーを考えるうえで、「組織のメンバーがその組織をどのように認識しているか」「組織のメンバーがその認識に基づいてどのような行動をとっているか」「ステークホルダーがその組織から得られる価値によってその組織をどのように認識しているか」が重要な要素になります。
カルチャーという言葉だけだと、曖昧でつかみどころがないように感じられます。しかし、以上のようにカルチャーをとらえると、自分が今まで行ってきたことでもあり、より具体的にとらえられるようになりました。そして、カルチャーを変革するには、何を行えばよいのかより具体的に考えられるようになりました。
なぜカルチャー変革が必要なのか?
では、なぜカルチャーを変革する必要があるのでしょうか。先ほど、組織のカルチャーを「その組織のメンバーが、自分たちはどういった存在で、何を大切にしているかを表し、それらが行動に反映されたもの。そして、ステークホルダーがその組織をどのように認識しているかを表したもの」と定義しました。
また、カルチャーを考えるうえで、「組織のメンバーがその組織をどのように認識しているか」「組織のメンバーがその認識に基づいてどのような行動をとっているか」「ステークホルダーがその組織から得られる価値によってその組織をどのように認識しているか」が重要な要素になることを書きました。
これらの間に整合性あれば、組織のカルチャーを変革する必要はないでしょう。一方で、一時の間は整合性があったとしても、環境は変化していくものなので、どこかのタイミングで整合性が保てなくなることもあるでしょう。また、今後の環境の変化を想定して、今から将来の整合性を保つために行動をすることもあるでしょう。
つまり、環境の変化によって、先ほどの3つの要素間の整合性が合わなくなるために、カルチャーの変革が必要になります。例えば、競合の行動や経済状況など様々な外部環境の変化によって、ステークホルダーが価値を感じることが変わることもあります。また、組織のメンバーの認識や行動が「存在意義」や「長期目標」、「価値観」を踏まえたものと違うものになることも考えられます。環境の変化によって、「長期目標」も変わっていくでしょう。場合によっては、「存在意義」が時代にそぐわなくなる可能性もあります。
組織カルチャーを変革していく際には、「組織のメンバーがその組織をどのように認識しているか」「組織のメンバーがその認識に基づいてどのような行動をとっているか」「ステークホルダーがその組織から得られる価値によってその組織をどのように認識しているか」の3つのうち、どの部分に課題があるかを丁寧に見つけ出し、その課題を解消しながら整合性を高めていくことが重要です。具体的には、ステークホルダーが求める価値を明らかにして、その価値を満たすように「存在意義」「長期目標」「価値観」を見直して、それらを体現できるように人事の仕組みを整えていくことになります。また、今の「存在意義」や「価値観」によって満たせるステークホルダーの価値を明らかにして、「長期目標」をたて、それを実現するように人事の仕組みを再構成していくことも考えられます。
まとめ
今回は、カルチャーの変革について述べました。具体的には、以下について書きました。
- 組織カルチャー(組織風土・文化)とは?要素は?
- なぜカルチャー変革が必要なのか?
ご覧いただきありがとうございます。これらはあくまで私自身の経験と考えに基づくものですが、多くの方々にとっても有益なヒントとなることを願っています。なお、この記事は私の個人的見解であり、所属組織とは関係ありません。
皆さんは、カルチャーの変革をどのように考えていますか?
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