パフォーマンスマネジメントの効果的な実践方法と視点

パフォーマンスマネジメント

このサイトは、ビジネスの成功に貢献したいと思っているHRのプロフェッショナルと組織マネジメントをより効果的に行いたいと思っているリーダーに対して、私の経験を共有することでお役に立つことを目指しています。

今回はパフォーマンスマネジメントがより効果的に機能するための重要なポイントについて書いてみたいと思います。以前の記事で包括的に議論しました。私は、パフォーマンスマネジメントを「その年の目標を達成しやすくする仕組み」だと考えていることを述べました。個人の目標設定をする際には、組織の存在意義(Reason to Exist)からスタートして組織の視点でSMART目標を設定することに加えて、個人のパーソナルバリューやキャリアビジョンとSMART目標をつなげることで、目標が自分事化されやすくなることも書きました。また、目標を達成するために、上長は、継続的なフォローとして称賛や提案を行うことやそのための留意点やカリブレーションも含めた評価の仕方などについて書きました。

 

また、パフォーマンスマネジメントが意図通りに機能するためには、上のポイントに加えて、下の図のそれぞれの仕組みが、以下のポイントを満たしていることも重要です。

  • 仕組みの意図が明確になっている
  • 仕組みの意図と中身が合っている
  • 仕組みの運用が意図通りに行われている
  • それぞれの仕組み間の整合性がとれている

これらが実現していると、パフォーマンスマネジメントはより効果的に機能していると言えると考えています。

今回は、少し角度を変えて、パフォーマンスマネジメントがより効果的に機能するための重要なポイントについて書いてみたいと思います。

パフォーマンスマネジメントを文章化すると、皆さんはどのような文章を作られるでしょうか?「AがBのパフォーマンスをマネジメントする。」という文章を作ったとした場合、AとBにはそれぞれどのような言葉が入るでしょうか?

 

HRが従業員のパフォーマンスをマネジメントする

例えば、「HRが従業員のパフォーマンスをマネジメントする」という文章も考えられます。ここでは、「従業員がパフォーマンスを発揮して期待される目標を達成できるように、HRが管理する」という考え方になると想定されます。

この考え方の下では、社員が目標達成できるようにHRが仕組みを設計して運用をリードしていくことになります。組織の今の状況を把握したうえで、必要なHRの仕組みを設計して、導入・実行を主導していきます。HRの役割として重要なことの一つでもあると考えられます。

一方で、この観点が強くなりすぎると、従業員にとってはやらされていると感じてしまうリスクがあります。やらされているという感情が強くなりすぎると、自発的に目標をこえて達成しようとする言動を期待することは難しくなります。また、HRへのサポート依存が強まりすぎたり、責任のバランスが崩れたりすることも起こり得ます。

 

上長がチームメンバーのパフォーマンスをマネジメントする

「上長がチームメンバーのパフォーマンスをマネジメントする」という文章も考えられるでしょう。「自チームのメンバーがパフォーマンスを発揮して期待される目標を達成できるように、上長が管理する」という考え方に基づくと思われます。

この考えに基づくと、自チームのメンバーが目標達成できるように、上長がそのメンバーの状況を理解したうえで必要なアクションをとることになります。以前のニュースレターで書いたように、自チームのメンバー個々のパーソナルバリューを理解して、そのパーソナルバリューと役割に求められる成果をつなげたり、そのメンバーの今の状況を理解したうえで称賛や提案を行ったりすることで、そのメンバーの役割に求められている目標を達成できるようにかかわっていきます。

一方で、この視点が強調されすぎると、従業員が指示されたことに対して受動的な立場に感じることがあるかもしれません。場合によっては、目標達成を重視しすぎるあまり、そのメンバーの状況を十分に考慮できず、一方的な指示や命令が繰り返されることで、メンバーがプレッシャーを感じるような状況が生じる可能性もあります。マネジメントの細部への関与が強まりすぎると、結果としてメンバーが窮屈に感じるような状況が生まれる可能性も考えられます。このような場合、メンバーの自主性や意欲が損なわれることも懸念されます。

 

私が私のパフォーマンスをマネジメントする

「私が私のパフォーマンスをマネジメントする」という文章も考えられるでしょう。これは、「自分のパフォーマンスを発揮して自分の役割に求められる目標を達成できるように、私自身が管理する」という考え方に基づくでしょう。

この考えに基づくと、自分で自分のパフォーマンスを管理することになります。自分で自分が担っている役割に求められる成果を明確にし、その目標と自分のパーソナルバリューとのつながりを自分で考え、日々どうやったら目標達成できるかを主体的に考え行動して、必要に応じて適切な人からサポートを得るように自発的に巻き込んでいき、目標達成をしていくことになります。また、目標達成に取り組むことで自らのパーソナルバリューがどのように満たされるのかを適宜振り返ることで、自らモチベーションを保ち、前向きに取り組みます。

一方で、この観点が誤解されると、自分で全てを完結しようとして、関係者との協力が不足したり、他者からのアドバイスやフィードバックを取り入れにくくなったりすることが考えられます。

他の文章も考えられると思いますので、その際は、その文章の基になっている考え方を明らかにして、そのメリットと度が過ぎた場合のデメリットを考えてみるのが良いと思います。

私は、「私が私のパフォーマンスをマネジメントする」を基本として、上長は、そのメンバーが自立してパフォーマンスを発揮できるように必要に応じてサポートし、HRは、これらが実現するようにその組織の状況を踏まえて仕組みを構築して運用をサポートしていく という考え方で組織運営を行っています。

 

まとめ

今回は、パフォーマンスマネジメントについて述べました。具体的には、「AがBのパフォーマンスをマネジメントする。」という文章を作ったとした場合、AとBにはそれぞれどのような言葉が入るかについて考え、パフォーマンスマネジメントを深堀しました。

  • HRが従業員のパフォーマンスをマネジメントする
  • 上長がチームメンバーのパフォーマンスをマネジメントする
  • 私が私のパフォーマンスをマネジメントする

ご覧いただきありがとうございます。今回のポイントが皆様の業務に役立つことを願っています。なお、この記事は私の個人的見解であり、所属組織とは関係ありません。

皆さんは、パフォーマンスマネジメントについてどんな文章を作りますか?

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