この記事は、ビジネスの成功に貢献したいと思っているHRのプロフェッショナルと組織マネジメントをより効果的に行いたいと思っているリーダーに対して、私の経験を共有することでお役に立つことを目指しています。
組織の理解を深めるために、私は、以下の図を使用しています。今回はパフォーマンスマネジメント(Performance management)の期中における継続的なフォローに焦点を当てたいと思います。

以前の記事で、私は、パフォーマンスマネジメントを「その年の目標を達成しやすくする仕組み」だと書きました。また、「その年の目標を達成しやすくする」ために必要なことが、パフォーマンスマネジメントに必要なことであり、その中の一つとして目標について議論しました。具体的には、SMART目標や、Relevantのスタート点はその組織の存在意義(Reason to exist)であること、目標を自分事化する方法、パフォーマンスマネジメントの構造上の問題点を解決する方法などを扱いました。
「その年の目標を達成しやすくする」ためには、その他にどのようなことが必要でしょうか?
継続的なフォロー
私は、自分事化した目標(達成すべきこと)を達成するための継続的なフォローが必要だと考えます。期中のレビューもこの継続的なフォローの一つになります。これは組織とそのメンバーの状況によって異なると思います。例えば、目標が明確になり自分事化することで、後はそのメンバー個人のみで達成に向けて取り組めて、目標を達成できる状況であれば、上長によるフォローは定期的な進捗確認程度の最小限なフォローで十分でしょう。
継続的なフォローの頻度
ただし、そういう状況だけでもないと思います。その場合は、その組織やメンバー個々の状況に応じて、適切なフォローの頻度や内容は変わっていきます。では、どのくらいの頻度でフォローすればいいのでしょうか?
それらに答えるためには、「その年の目標を達成する」という観点で考える必要があります。この人が目標を達成できるためには、どのくらいの頻度でどのようなことをすればよいのかを考えます。私の経験では、週1回または隔週でのフォローが効果的であることが多いです。
日々業務が忙しくなってくると、目先の業務を行うことが目的になりやすく、期待されている成果はどのようなことかやそのためにどのようなことをするのが良いのか等の視点は失われやすいです。また、日々いろいろなことがあるので、モチベーションが高い水準で維持され続けることも難しいことが多いでしょう。
そのために、週1回や隔週で1回程度、上長とメンバーが話をする機会を設けて、状況をお互いに確認することが良いペースとなることが多いです。
継続的なフォローの内容
では、上長とメンバーが話をする際に、上長はどのようなフォローができるでしょうか。
ここでも目標を自分事化したことが役に立ちます。日常業務に追われて目先の業務遂行が目的になってしまいモチベーションが下がっている場合には、この目標を達成することでそのメンバーが大切にしている個人の価値観がどのように満たされるのか、また、この目標達成に取り組むことで個人のキャリアビジョンの達成にどのように近づけるのかについて会話をします。
Dave Ulrich氏がChris Altizer氏との共同執筆で書かれたニュースレターで提言されている、employee value propositionにhopeを加えるということにインスピレーションを得ました。そのメンバーが、期待される目標の達成に取り組むことが、自分の価値観を満たしたり、自分のキャリアビジョンに近づいたりと実感できることで、hopeにつながるのではないかと考えます。
目標を達成しやすくするという観点から上長がすべきことは、他にも多くのことがあるように見えます。例えば、教える、フィードバックする、ほめる、話を聴く、お手本を示す、質問をするなど、いろいろなことがあげられるでしょう。具体的なコンセプトとしては、GROWモデルやSBIフィードバック、Situational LeadershipⅡなど素晴らしいものがたくさんあるので、是非ご自身で調べてみてください。
究極的には、私は、称賛と提案になると考えています。その目標を達成するのにふさわしい言動や続けてほしい言動に対して称賛します。その目標を達成するために変えたほうが良い言動や新たに始めたほうが良いと思う言動について、メンバーに提案をします。
称賛も提案もそのメンバーの個性や状況によって濃淡が出てきます。
例えば、一般論としては、「称賛するときは人前で」と言われていると認識していますが、人によっては人前で称賛されると逆にモチベーションが下がる人もいらっしゃいます。また、提案も、その業務の経験が浅いメンバーに対しては、教えるという意味合いがより強くなるでしょう。また、起きたことに対して次回はどうしたほうがいいかという観点での提案と、これから起こす行動がより良い結果をもたらすためにという観点での提案もあるでしょう。これもそのメンバーの状況に応じて、学びが大きく最終的にその年の目標達成をしやすくする観点でどちらのほうがいいのかを上長は考える必要があります。
まとめ
今回の記事は、パフォーマンスマネジメントにおけるフォローの方法について述べました。具体的には、以下のことを書きました。
- 継続的なフォローの頻度
- 継続的なフォローの内容
- 称賛と提案の重要性
これらのポイントが皆様の業務に役立つことを願っています。
そして、重要なことは、「私は、目標の達成に向けて上長と継続的に話している。」「私の上長は、私の目標が達成できるようにサポートしている。」という質問に「Yes」と答えられるように、必要なアクションを計画して実行することです。
最後までお読みいただきありがとうございます。なお、この記事は私の個人的見解であり、所属組織との関連はございません。
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