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今回は、人材のタイプについて書いてみたいと思います。T型人材やπ型人材など、〇型人材と言われたら、あなたはどのタイプの人材になるでしょうか。または、どのタイプの人材を目指しているでしょうか。
ちなみに、T型人材とは、横方向を知識やスキルの幅広さを、縦方向を特定分野における専門性の深さを表した場合、特定の分野に深い専門性を持つ一方で、他の分野に対しても幅広い知識やスキルを持っている人材のことを表します。
同様に、π型人材とは、横方向の幅広い知識やスキルを持つことはT型人材と同様ですが、縦方向の専門性の深さを複数の分野で持っている人材のことを指します。
私は、担当者時代、チームマネジメント時代、マネジメントメンバー時代のそれぞれにおいて、目指してきたタイプが異なります。また、AIのますますの進化も影響してくると思っています。次のパートからは、それぞれについて書いてみたいと思います。
担当者時代
私は、担当者の時は、特に人事の分野において、正方形型人材を目指していました。つまり、人事のすべての分野(横方向)において、深い専門性を持っている(縦方向)人材になれるように取り組んできました。
そのため、常に新しい人事の領域の仕事を求め、そこでより深く理解して自ら提案・実行をリードしてきました。その結果、形式知はもちろんのこと、その経験に基づいた暗黙知も習得することができました。
形式知を習得する際には、ドラッカー氏が行っていたという手法が私には合っていました。それは、特定領域に関する書籍を3冊読むということです。これによって、その領域についてある程度網羅的に理解することができました。また、その読み方については、ビジネススクールで習った、より早くポイントをつかむ手法が役に立ちました。その上で、更に10冊以上の書籍を読むことで、より詳細についても理解を深めることができました。より多くの書籍を読めば読むほど、似た内容のところも増えてくるので、ある程度の書籍を読んだら、その後は辞書を引くようにして読みました。つまり、最初から最後まで熟読するのではなく、目次をみて知らない箇所や興味のある箇所を読むということを行いました。
これらの取り組みの結果、「こんなに幅広くいろいろなことができる人に会ったことがない」と当時の上司から言われたことを覚えています。
チームマネジメント時代
ラインマネージャーとなって、自らのチームを持つようになってからは、長方形型人材を目指しました。ラインマネージャーになる以前からチームマネジメントに関する書籍を数多く読んでいたり、ラインマネジメントをする以前からラインマネージャー向けのトレーニングを設計したり、実際にデリバリーをしたりしてきた経験から、正方形人材のままでは、限界に直面すると感じていました。
そこで、意識的に正方形型人材から長方形型人材になることを目指しました。つまり、横方向の領域の広さは更に広げる一方で、縦方向の専門性の深さはある程度までとして、それ以上の専門性の深さについては各担当者に任せることとしました。
なぜ長方形型人材を目指したのかというと、まず物理的に難しくなるだろうと思ったことがあります。チームマネジメント自体、チームの力を活用して自分一人でできること以上のことを行うことだと考えていました。そのため、私一人でできることには限界があると認識していました。
また、チームメンバーの育成の観点からも長方形型人材になる必要性を感じていました。すべてを自分一人で行ってしまったら、メンバーが成長する機会を奪ってしまうことにもなりかねません。そこで、ある領域についてはしかるべきメンバーに任せ、彼らが自ら経験し学ぶことをサポートすることに徹しました。的確にサポートするためには、その領域についてある程度の専門性が必要になります。そこで、縦方向の専門性の深さもある程度身に着けるようにしたことで、長方形型人材を目指しました。
マネジメントメンバー時代
現在は、人事部門を管掌するマネジメントメンバーの役割を担っています。人事部門の専門性をもったマネジメントメンバーという観点から考えると、T型人材といえるのかもしれませんが、私自身、マネジメントメンバーということに加えて、人事の専門家としてのアイデンティティを強く持っています。
Dave Ulrich氏が掲げる、ステークホルダーに価値を提供する人事の考え方に非常に感銘を受けました。この観点から考えると、今の私は、ヒト型人材を目指しています。マネジメントメンバーとして、人事以外の他の分野についての知見を広めることは重要です。そのためのアクションも必要です。私の場合は、ビジネススクールで学んだことも現在役に立っています。それに加えて、その分野の専門家の人々と協働をして彼らの知見を活かすことも非常に重要です。長方形に腕をつけることで、協働の重要性を表現しています。
また、マネジメントメンバーの役割だと、どうしても現場から遠のいてしまいがちになります。そうすると、現場の状況から乖離した判断をしてしまうことにもなりかねません。そこで、実際に業務を遂行してくれている人と意図的にかかわったり、担当者とより具体的に話をしたりということを行って、「現場感」を大切にしています。更に、General managementだけを行っていると、実際の経験が乏しくなり、自らの感覚も現状にそぐわなくなる可能性もあります。その意味では、特定の分野においては、専門性をキャッチアップし、実体験から得られる暗黙知をリフレッシュする必要があります。つまり、長方形からいくつかの専門性を深める(=縦方向に伸ばす)ことが重要です。長方形から縦方向にいくつか専門性をのばしたところを足と表現しています。
つまり、ヒト型人材とは、長方形型人材に加えて、他の分野の専門家との協働を表す腕とより現場感の理解に基づく経験の深化を表す足から成ります。
AIの進化がもたらす影響
今後更にAIが進化していったら、どうなるのでしょうか。現状では、プロンプトによって広大なデジタルデータから求めるアウトプットがなされています。今後この精度はますます高まっていくことが予測されています。
デジタルデータが、言葉で表現されたことに加えて、暗黙知などの言葉で表現されていないことも扱えるようになったり、プロンプトに具体性が必要なくなってAI自体が使用者の意図を把握できるようになったりしたら、そもそも〇型人材という考え方自体が必要なくなる可能性もゼロではないでしょう。
一方で、AIが感情を扱うことが難しいのであれば、ヒト型人材に感情への理解や共感を含めたヒト型2.0人材の重要性が高まるのかもしれません。
まとめ
今回は、〇型人材について述べました。ご覧いただきありがとうございます。今回のポイントが皆様の業務に役立つことを願っています。なお、この記事は私の個人的見解であり、所属組織とは関係ありません。
あなたは、何型人材ですか?また、今後より必要とされるのは何型人材になると思いますか?
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