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今回は、リーダーシップスキル開発やコミュニケーションスキル開発にパーソナルバリューの特定方法を活用する仕方について書いてみたいと思います。私は、個人の持っている力を引き出し、組織の能力を高めるために、パーソナルバリューが重要なポイントのうちの一つであると考えています。パーソナルバリューを特定して、そのパーソナルバリューをパフォーマンスマネジメントやサクセッションプランニングにつなげていくことで、個人の能力や組織の能力が向上することに役立つと考えています。このニュースレターでも、パーソナルバリューの重要性や人事の仕組みとの連動の仕方についていくつかの記事で書いてきています。
私は、これまで、パーソナルバリューを特定して、それを人事の仕組みと連動させることで、個人や組織の能力を高めることを実務で行ってきましたが、その中で、パーソナルバリューを特定する方法を応用することで、リーダーシップスキルやコミュニケーションスキルを高めることにもつながることを実感してきました。今回は、このことについて以下のパートで書いていきたいと思います。
まず、私が行っているパーソナルバリューを特定する方法について述べ、その後、その方法がリーダーシップスキルやコミュニケーションスキルを高めるためにどのように活用できるのかについてそれぞれ議論していきたいと思います。
パーソナルバリューを特定する方法
私がパーソナルバリューをどのように特定しているのかについて書いていきます。パーソナルバリューを特定する方法はいくつかあると思いますが、私は、「今まででとても楽しかった時のことを具体的に話してください。」という質問から始めます。もちろん、このような個人的なことを開示してもいいと思ってもらえるような関係性を築いていることが前提です。
この質問に対する返答を理解して、次の質問をしていきます。その際のポイントは、あたかもその場面に自分がその人としているかのように想像できるように質問によって具体的にしていくということです。また、相手の安心感を大切にしながら進めることも重要です
例えば、「それはいつ頃のことでしたか?」と質問することで、時期を明確にしていきます。「5歳の時」や「春の時期」などの返答があると思うので、その返答に応じて時期を具体的にイメージしていきます。「5歳の時」という返答があれば、自分が5歳になりきっていきます。
更に、「場所はどういったところでしたか?」と質問することで、場面を具体的にしていくことができます。「そこには誰がいましたか?」「どんなことをしていましたか?」などを質問していくことで、その時の状況をより具体的にイメージすることができるようになっていきます。
状況をより具体的にイメージできるようになったら、その状況でどのような気持ちになるだろうということを意識するようにします。これによって、その人はどういったところを楽しいと思うのか、他にどのような気持ちを感じるのかといったことを想像していきます。
最後に、「ここまで話してみて、どういったところが楽しかったですか?」と質問することで、その人が自分のパーソナルバリューを発見していくことにつながっていきます。また、この会話を通して、自分がその人のパーソナルバリューはこういうことではないかと思ったことをフィードバックすることで、よりその人が確信をもって自分のパーソナルバリューを特定することにもつながっていきます。
このような、その人の状況を理解して、その人の立場に立って感情を想像するということが、リーダーシップスキルやコミュニケーションスキルを高めることにも貢献すると感じています。次のパートからは、そのことについて書いていきます。
リーダーシップスキルを高める
一つ目は、パーソナルバリューを特定する方法が、リーダーシップスキルを高めることにつながるということについて書いていきます。リーダーシップスキルについては、様々な定義があると思いますが、私は、「達成することを決め、適切な人を巻き込み、それを達成するスキル」と考えています。パーソナルバリューを特定する方法は、このうちの「適切な人を巻き込み」ということに関係していると思います。
適切な人を巻き込むためには、その人がどうしたら巻き込まれてくれるかを考えることが必要です。ここで、「その人の状況を理解し、その人の立場に立って感情を想像する」ということが役に立ちます。
その人は、どんな役割を担っていて、どのような期待値や目標があり、どのような裁量権を持っているのかなどを理解します。更に、その人は、どういった情報に基づいて考えているのか、思考の仕方にどのような特徴があるのかなども理解します。もちろん、その人のパーソナルバリューが理解できればより良いです。
このようなことを理解して、次に「この達成することへの協力を依頼した際に、この人はどのような反応をするだろうか」ということについて想像してみます。その上で、「どういったことを話すと、この人は喜んで協力してくれるだろうか」ということを考えていきます。
更に、パーソナルバリューを特定する方法は、リーダーシップスキルの「それ(決めた達成すること)を達成する」ということにも役に立ちます。「それを達成する」ためには、巻き込んだその人に求める行動をとってもらうことが必要です。その際に、その人の立場に立って考えれば考えられるほど、どういったときにその人はモチベーションを落としやすいかを想像することができるようになります。それが想像できれば、その人がモチベーションを落としやすい状況にならないように配慮したり、仮にそのような状況になってもどのように声をかけていけばいいかを考えることができたりします。このようなことをすることで、その人が持っている能力をより発揮してもらいやすくなり、「それを達成する」ことがしやすくなります。
コミュニケーションスキルを高める
パーソナルバリューを特定する方法は、コミュニケーションスキルを高めることにもつながります。コミュニケーションスキルも様々な定義があると思います。私は、「自分の求める行動を相手にしてもらい、相手が求める行動を自分が行うスキル」だと考えています。パーソナルバリューを特定する方法は、このうちの「自分の求める行動を相手にしてもらう」ということに貢献すると思います。
「相手の状況を理解して、相手の立場に立って感情を想像する」ことで、どのようにしたら相手は自分が望む行動をしてくれるのかを考えやすくなります。相手がその行動をポジティブにとらえて行ってくれるにはどういったところがポイントになるのか、一方で、相手がなかなか自分の求める行動をとりたくないと思うのはどういったところか、ということを考えていきます。
このことは、コンフリクトマネジメントスキルにも役立ちます。コンフリクトは、表面的には意見の違いに基づくことが多いと思いますが、深いところでは感情面での違いが影響することもあります。その意見の違いはどうやって生じたのかを明らかにするために、その人はどういう情報に目を向けがちで、その情報をどのように解釈する傾向があるのかなどについて理解していれば、どういった考えに至りやすいのかを想像することにつながります。更に、どういった事象に対してどのような感情をもつ傾向があるのかについて理解できていれば、感情面に対する配慮もしていくことができます。こうすることで、論理的にも感情的にもより納得しやすい解決策を模索していくことにつながっていきます。
まとめ
今回は、リーダーシップスキルやコミュニケーションスキルを高めるための一つの方法として、パーソナルバリューを特定する方法をどのように活用するかについて書いてみました。もちろんこれは私の経験に基づくものであるので、他の方法もあると思います。このことをサポートする理論や他の方法をご存知の方がいらっしゃれば、是非共有いただければと思います。
最後までご覧いただきありがとうございます。なお、この記事は私の個人的見解であり、所属組織とは関係ありません。
皆さんは、リーダーシップスキルやコミュニケーションスキルを高めるためにどのようなことを行っていますか?
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